家族会議が開かれ当然のごとく反対されたが、長女に両親を説得してもらい、無事に「原田実とワゴンエース」の一員になった。(リーダー・St.G・原田実、Vo・G・寺本圭一、
F・宮城久彌、Dr・丸山章一)このときから人生が180度転換した。
TV、ラジオ、コンサート等、おいしい所はほとんどワゴンエースであり、よく売れていた。
ちょうど日本のカントリーミュージックの一番良い時の一番最後であったと思う。
大学3年の後半、卒業設計を提出する時期に北海道労音にぶつかり、北海道ツアーに出てしまった。 帰ってきてから先生に理由を聞かれた。
■原田実とワゴンエース
ジミー時田
片山君 演奏活動30周年おめでとう。
君がワゴンエースでやっている頃、僕の事をとても怖がっていたなぁ。 随分色々な事を言ったりして君を苦しませた事でしょう。いや頭に来た事でしょう。 あれからあっという間に年月が経ち現在の君が元気でプレイしている姿を見るに付け多いに感慨深いものがある。 僕も大分歳をとってきてパワーがなくなって来たが、音楽に関しては妥協を許さない。 まだまだ勉強しなくては、生涯勉強だと思う。 日本に於いてのカントリーミュージックの地位を高める為にも質を向上させるためにもプレイヤーの君達のセンスと腕にかかっていると思う。今後のカントリー界を背負って立っていくミュージシャンの一人として多いに期待している。30周年を元気で迎えられた事大変嬉しく今迄ご苦労様という気持ちと今後ともうるさい親爺を宜しくお願いします。

「どうして提出できなかったのか?」
「仕事をしていました。」
「仕事は卒業してからも出来るだろう。どこの設計事務所だ。」
完全に両者食い違ってる。
「音楽をやっています。」
「それではプロでやれ!」(怒)
「プロでやってます。」
「それならTVくらいでてみろ!」(さらに怒)
当時TVのレギュラー番組もありよく出ていたので、
「TVに出ています。」先生はもうカンカンになり、
「もうお前には単位はやらん!」

■師匠・故 原田実 氏
結局この年には卒業出来ず、6年間も大学に行ってしまった。 このままだと卒業が出来なくなるので、一時ワゴンエースをヤメにする事になる。 当時ベトナム戦争で原子力反対ということで学生運動の集会が盛んに行われた。
大学にも警察が入ったりしていた。
このどさくさにまぎれて何とか卒業することが出来た。
この間に横須賀ドブ板通りにある「プラスレール」の専属バンドになり、大学の後輩をあつめてバンドをやっていた。 
大野義夫とカントリーメイツに入り全国をショー巡りしていたのもこのころである。九州、東北と楽しい思い出がある。大野義夫さんは、日本のカントリーヨーデルとバンジョーの第一人者であり常にお客様を大切にし楽しんで帰ってもらおうというエンターティナーである。(現在、ステージコーチに毎月1回レギュラー出演)
学校を卒業して又、原田実とワゴンエースに戻ろう思っていた頃、後輩達がプロでやりたいと言ってきた。自分の音楽を作ろうと意気盛んの頃である。 
1971年“片山さとし&フレンドシップ”の誕生である。(G・三浦ひろし、Dr・貝森ジュンジ、StG・尾崎孝、Vo・泉エリ)生意気にも日本の古いカントリーから脱皮しようと、新しいことをいろいろ試してみた。キーボードを入れたカントリーは当時あまりなかった。尾崎君が入るまでは全員関東学院大学出身の学閥バンドであった。三浦、尾崎のサウンドは絶妙であった。カーペンターズのカントリー版の様な事をしていた。
ワゴンエースでの勉強と、多くの知人ができ、マネージメントとプレイヤーを始めた時期である。私の音楽はカントリーサウンドをベースに、日本の曲をやりたかった、オリジナルや当時流行っている曲でカントリーになりそうな曲はだいたい手がけていた、なかなか充実した日々を送っていた。

■大野義夫氏、小坂一也氏。ステージコーチにて
大野義夫
片山君、芸能生活30周年おめでとうございます。君との出会いは米軍横須賀基地だったと思う、まだ学生だったネ。何度か顔を合わせるうちに、九州への仕事の話がまとまり九州を始め色々な所へ一緒に旅をした事が懐かしく思い出されます。
君がステージコーチを始めてからは月1回のライブを一緒にやって15年あまり、アメリカンでハートフルなお店でのライブはとても楽しく時には仕事を忘れてお客様共々楽しんでしまう事もありました。最近は息子の誠史君も君と同じ道を歩きはじめ、活躍中との事。いずれは我々の後継者として、カントリーの灯を守って育てて行ってくれればいいなと思っています。ガンバレ!誠史君・・・。それ迄はまだまだ我々が頑張って彼らの行くカントリーの道、守り続けよう、お互い健康第一に考えて、一日でも永く一緒にカントリーを楽しんで行こうではありませんか?後に続く若者の為にガンばろう!!
宮城久彌
片山君、本日はカントリー界生活30周年お目出とうございます。君と初めてお会いしてから既にこの年月が過ぎたかと思うと、感慨無量です。私も学生時代のカントリー好きが30年余続いて現在に到った次第ですが、貴方も同じ様に30年の歳月を重ねられた訳ですね。これは現在活躍しておられる方々もカントリー・ミュージックを愛して現在迄続けてこられたのではないかと思います。決して平坦な道ではなかったけれど、この道以外の私の人生は無かったと思っています。片山君の本日迄の歩み、そして築かれた成果は君の大変な努力と熱意の結果とあらためて敬意を籠めて拍手を送ります。初めてお目に掛かった頃、優しく初々しかった童顔の君の現在の風貌を想えば、この年月の長さが痛感させられます。今まで以上カントリー界では貴方の力を必要としています。更なるご活躍を期待して心から本日のお祝いを申し上げます。